不動産オーナーの賃料収入管理が大事な理由
不動産賃貸は、入居者から毎月決まった日に家賃が振り込まれる「ストック型」のビジネスです。売上の見通しが立ちやすいのは大きなメリットですが、物件が増えてくると入金の確認がだんだんあいまいになります。
たとえば管理会社からの送金明細をきちんと確認せず通帳の入金額だけ見ていたり、敷金や更新料の入金を家賃収入と混ぜて記帳していたり、空室分の減額を反映し忘れていたりすると、確定申告のときに「帳簿と実際の入金が合わない」という事態になります。賃料収入の管理が雑な状態は、税務調査でもまず指摘されるポイントです。
入金口座は事業専用にまとめる
賃料収入の管理で一番大事なルールは、家賃収入の入金先を事業専用口座に集約することです。プライベートの口座に管理会社からの送金を振り込ませていると、生活費の出入りと混ざって、何がいくらの家賃収入なのかわからなくなります。
事業専用口座に集約しておけば、通帳の入金記録がそのまま売上の証拠になります。帳簿の数字と通帳の数字が一致していれば、税務調査でも「きちんと管理しています」と自信を持って対応できます。
自主管理で入居者から直接振込を受けている場合も同じです。入居者に指定する振込先を事業用口座に統一しましょう。
| 入金管理のパターン | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 事業専用口座に集約 | 通帳=売上台帳になる。確定申告がスムーズ | 口座開設の手間がかかる(初回のみ) |
| プライベート口座と共用 | 口座を増やさなくて済む | 家賃収入と生活費が混ざり、帳簿との照合が大変 |
| 物件ごとに口座を分ける | 物件別の収支が通帳だけでわかる | 口座が増えすぎて管理が煩雑になる |
通帳は「家賃収入・経費用」と「納税用」「将来投資用」「生活費用」の4つに分けておくのがおすすめです。お金の流れが見えやすくなり、確定申告も融資審査もスムーズに進みます。
入金確認はマネーフォワードで自動化する
事業専用口座を用意したら、次はマネーフォワード クラウド確定申告と連携させましょう。銀行口座を連携しておけば、管理会社からの送金や入居者からの振込が自動的に取り込まれます。
この流れをまとめると、次のようになります。
- マネーフォワードに事業専用口座を連携する — 賃料の入金データが自動で取り込まれる
- 取り込まれた入金データを仕訳として登録する — 一度パターンを覚えさせれば、同じ入金先は自動で仕訳が提案される
- 管理会社の送金明細と会計ソフトの数字を照合する — 差額があればすぐにわかる
- 入金が遅れている物件があれば確認する — 空室や滞納は帳簿側にも反映されるので、見落としが減る
スプレッドシートで賃料の管理表を別途作るくらいなら、マネーフォワードに寄せてしまった方がずっと楽です。入金と帳簿の突き合わせもほぼ自動でやってくれるので、差額が出ればすぐに気づけます。
照合は月末もしくは管理会社からの送金日に合わせて行います。差額が出たら、その月のうちに原因を調べましょう。翌月以降に持ち越すと、どの物件のどの入金がズレているのか、まず特定できません。
敷金・礼金・更新料の入金は扱いに注意
不動産賃貸では、毎月の家賃以外にもまとまった入金があります。これらは家賃収入とは別に管理しないと、帳簿がズレる原因になります。
| 一時金の種類 | 会計上の扱い | 注意点 |
|---|---|---|
| 敷金(返還する部分) | 預り金として負債に計上 | 売上ではない。退去時に返還義務がある |
| 敷金(返還しない部分) | 入居時に売上計上 | 契約で「償却」と定めた部分は収入になる |
| 礼金 | 入居時に売上計上 | 全額が不動産所得の収入 |
| 更新料 | 更新時に売上計上 | 通常2年ごと。忘れやすいので注意 |
| フリーレント中の家賃 | 収入なし | フリーレント期間は売上を計上しない |
敷金の扱いは特に間違えやすいポイントです。入居者から預かった敷金のうち、返還する部分は「預り金」であって売上ではありません。一方、契約書に「敷金1ヶ月分は償却とする」と書いてある場合、その分は入居時点で収入として計上する必要があります。
マネーフォワードで入金を仕訳登録するとき、家賃収入と一時金は勘定科目を分けて記帳しましょう。混ぜて処理すると毎月の収支が見えなくなります。
物件ごとの損益管理もマネーフォワードで
物件が複数ある場合、全体の合計だけ見ていると、赤字物件が黒字物件に埋もれてしまいます。物件ごとの収支を毎月把握しておけば、「この物件は修繕費がかさんでいるな」「空室が続いて利回りが下がってきたな」といった経営判断が早くなります。
マネーフォワードには「部門管理」や「タグ」の機能があるので、物件ごとに部門やタグを設定しておけば、1つの帳簿で物件別の収支を分けて管理できます。物件ごとに口座を分ける必要はありません。スプレッドシートで物件別の管理表を別途作る手間もなくなります。
物件ごとの損益管理では、以下の項目を月次で確認しましょう。
- 家賃収入(実収入) — 満室時の想定賃料ではなく、実際に入金された金額
- 空室率 — 空室が何部屋あり、想定賃料に対して何%の稼働か
- 管理会社への手数料 — 家賃の3〜5%が相場。送金明細で差し引かれている
- ローン返済額(元金+利息) — 元金部分は経費にならないが、キャッシュフローには影響する
- 修繕費・その他の経費 — 原状回復費、設備交換、固定資産税など
帳簿と証票の保存期間
賃料台帳や現金出納帳、管理会社の送金明細、修繕の領収書、通帳などは、青色申告の場合7年間の保存が義務付けられています(前々年の所得が300万円以下の場合、一部書類は5年間)。月ごとに封筒やファイルに分けて整理しておくと、後から探す手間が省けます。
管理会社からの月次報告書や入退去の精算書も、物件ごとに分けて保管しておきましょう。賃貸借契約書は入居者が退去しても捨てずに保存してください。敷金の返還や原状回復費の処理で、あとから確認が必要になることがあります。
当事務所のサポート
「物件が増えて入金の管理が追いつかない」「確定申告で帳簿と通帳の数字が合わなくて困っている」——そんなお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
当事務所では、不動産オーナーの物件構成に合わせた入金管理の仕組みづくりから、マネーフォワードの導入支援、物件ごとの収支管理まで対応しています。口座の使い分けや管理会社との明細照合のやり方など、物件の数や管理形態に合わせたアドバイスをお伝えします。初回のご相談は30分5,000円〜です。
