はじめに
不動産所得の確定申告は、単に収入と経費を計算するだけでは済みません。税法上の特例や経費の計上方法を知っているかどうかで、納税額に大きな差が生まれます。
今回は、不動産オーナーの方が確定申告で見落としがちな5つのポイントをご紹介します。
ポイント1: 減価償却の計算方法
建物の減価償却費は、不動産所得の経費として大きなウエイトを占めます。しかし、以下の点を見落としているケースが多いです。
- 建物と設備の按分: エアコン、給湯器などの設備は「建物附属設備」として耐用年数が短く、早期に償却可能
- 中古物件の耐用年数: 中古取得の場合、簡便法による短い耐用年数が適用できる
- 土地と建物の按分: 購入時の契約書で按分割合が不明な場合、合理的な方法で建物割合を最大化
ポイント2: 修繕費と資本的支出の判断
物件のメンテナンス費用は「修繕費」として一括経費にできるか、「資本的支出」として減価償却が必要かの判断が重要です。
修繕費になるもの
- 壊れた部分の原状回復
- 定期的な塗装、防水工事
- 1件あたり20万円未満の工事
資本的支出になるもの
- 価値を高める工事(グレードアップ)
- 用途変更のための改造
- 1件あたり60万円以上の工事(原則)
注意: 20万円以上60万円未満の場合は、工事内容に応じた判断が必要です。
ポイント3: 青色申告特別控除の活用
不動産所得は、事業的規模(いわゆる5棟10室基準)を満たせば、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。
- 5棟10室基準: 独立家屋5棟以上、またはアパート等10室以上
- e-Tax提出: 65万円控除には電子申告が必要(紙提出は55万円)
- 複式簿記: 正規の簿記の原則による記帳が必要
事業的規模に満たない場合でも、10万円の青色申告特別控除は受けられます。
ポイント4: 借入金利息の按分
物件取得のための借入金利息は経費になりますが、以下の注意点があります。
- 土地部分の利息制限: 不動産所得が赤字の場合、土地取得のための借入金利息は損益通算の対象外
- 借換えの場合: 借換え後のローン残高が借換え前の残高を超える場合、超過分の利息は経費にならない
- 事業用と居住用の混在: 自宅兼賃貸の場合、面積按分で利息を経費計上
ポイント5: 各種引当金・準備金
あまり知られていませんが、以下の制度も活用できます。
- 貸倒引当金: 年末時点の未収家賃の一定割合を引当金として計上
- 専従者給与: 家族が不動産管理に従事している場合、適正な給与を経費計上(届出が必要)
- 少額減価償却資産の特例: 青色申告者は30万円未満の資産を一括経費計上(年間合計300万円まで)
まとめ
これらのポイントを押さえるだけで、年間数十万円の節税につながるケースも珍しくありません。特に、減価償却の方法と修繕費の判断は、専門家に相談することをおすすめします。
「自分の申告は大丈夫かな?」と感じた方は、ぜひ一度ご相談ください。申告書の無料チェックサービスも行っています。